問13
粉じん中の遊離けい酸の分析手順に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- (1)X 線回折分析装置による定性分析で、クリストバライトの含有が認められた場合、りん酸法による定量操作を選択してはならない。
- (2)X 線回折分析装置による定性分析で、遊離けい酸が確認できなかった試料は、管電流及び管電圧を見直し、感度を上げて再度分析し、それでも遊離けい酸の存在が認められない場合は、遊離けい酸含有率は 0 %として取り扱う。
- (3)X 線回折分析装置による定性分析により炭酸カルシウムの存在が確認された試料では、基底標準板としてアルミニウム板を用いてはならない。
- (4)X 線回折分析法の定量下限を簡易的に求めるときは、測定された1回のX 線計数値が N(cps)であるとき、√N の 10 倍を検量線の勾配で除した値となる。
- (5)分析試料中に石英以外の遊離けい酸が混入していないことが明らかであり、硫化物や金属類も含まれていない試料については、王水を添加しないりん酸法を行ってもよい。
正答 (3)
法改正に関する注意:令和8年10月1日施行の作業環境測定基準の改正で、遊離けい酸の分析方法に関する規定(第2条の3)が加わりました。この解説は旧版のガイドブックにもとづいています。現行の条文で内容が変わっている場合は、現行の条文が優先されます。
X線回折の定性分析で、炭酸カルシウム(CaCO₃)の存在が確認された試料では、亜鉛板を基底標準板に使うと、亜鉛の回折線が炭酸カルシウムの第2強線の回折線と重なって、吸収補正に影響します。そのため、亜鉛板は使わず、アルミニウム板などを基底標準板として使います。「アルミニウム板を用いてはならない」とする選択肢3は誤りです。
トリジマイトやクリストバライトは、熱りん酸に溶けるため、含まれているとりん酸法では遊離けい酸が真の値より低く評価されます。よって、これらが含まれる試料では、りん酸法を選択しません(選択肢1)。X線回折の定量下限は、1回のX線計数値 N(cps)の平方根の10倍を、検量線の勾配で割って求めます(選択肢4)。
(参考:『作業環境測定ガイドブック1[鉱物性粉じん・石綿・RCF]の測定の実務』(旧版))
この問題は、何とか得点したい問題です(学習の優先度:中)。
理由:下記の通り、正答の選択肢が、過去に複数回出題されており、押さえておけば、正答を割り出せるからです。
この区分は、過去の全回の出題にもとづく目安です。
出題頻度
この科目の過去12回のうち、同じ内容が出題された回数です(同じ回に重複しても1回と数えます。「似た記述」は、言い回しが違うが、論点が近いものです。実際の頻度は、これらの間にあることが多いです)。
- (1)正しい記述頻出のおとり:全12回中6回出題(出題確率50%)
- (2)正しい記述頻出のおとり:全12回中3回出題(出題確率25%)/似た記述を含めると4回(33%)
- (3)誤った記述正答(過去に複数回出題):全12回中2回出題(出題確率17%)
- (4)正しい記述初見:全12回中1回出題(出題確率8%)
- (5)正しい記述頻出のおとり:全12回中3回出題(出題確率25%)
この問題のひっかけパターン:炭酸カルシウムがある試料の基底標準板はアルミニウム板
X線回折の定性分析で、炭酸カルシウム(CaCO₃)の存在が確認された試料では、亜鉛板を基底標準板に使うと、亜鉛の回折線が炭酸カルシウムの第2強線の回折線と重なって、吸収補正に影響します。そのため、亜鉛板は使わず、アルミニウム板などを基底標準板として使います。
出典:公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題(令和8年度 第1回・2026年8月実施)