問16
電離放射線及びその生体影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- (1)陽子数が同じで中性子数が異なる原子を互いに同位体といい、電離放射線を放出する同位体を放射性同位体(ラジオアイソトープ)という。
- (2)α線、β線、γ線の中では、γ線が透過力、電離作用ともに最も大きい。
- (3)電離放射線による中枢神経系障害は、確定的影響に分類され、被ばく線量がしきい値を超えると重篤度が線量の増加に応じて増加する。
- (4)電離放射線の被ばくによる白内障は、晩発障害に分類され、被ばく後、半年 ~ 30 年後に現れる。
- (5)造血器、消化管粘膜など細胞分裂の頻度の高い細胞が多い組織・臓器は、一般に、電離放射線の影響を受けやすい。
正答 (2)
α 線、β 線、γ 線の中で、透過力が最も大きいのは γ 線ですが、電離作用が最も大きいのは α 線です。どちらも γ 線とする選択肢2は誤りです。
電離作用が強い放射線ほど、すぐにエネルギーを失うので、透過力は小さくなります。α 線は透過力が小さく電離作用が大きい、γ 線はその逆、という関係で覚えましょう。
この問題は、試験本番では得点しなければならない問題です(学習の優先度:最高)。
理由:下記の通り、原理「放射線の透過力と遮へい・外部被ばく防護の三原則」(過去23回中13回出題)を理解していれば、論点そのものを暗記していなくても、解けるからです。
原理から解く:放射線の透過力と遮へい・外部被ばく防護の三原則(過去23回中13回出題)
この区分は、過去の全回の出題にもとづく目安です。
出題頻度
この科目の過去23回のうち、同じ内容が出題された回数です(同じ回に重複しても1回と数えます。頻度は、問われている論点(同じ事実のまとまり)の出題回数です)。
- (1)正しい記述初見:全23回中1回出題(出題確率4%)論点「陽子数が同じで中性子数が異なる原子を互いに同位体といい、電離放射線を放出する同位体を放射性同位体(ラジオアイソトープ)という」
- (2)誤った記述正答(原理から解ける):全23回中12回出題(出題確率52%)/同じ記述の出題:1回論点「β線とγ線では、γ線の方が透過力が大きい。」原理「放射線の透過力と遮へい・外部被ばく防護の三原則」:全23回中13回出題
- (3)正しい記述頻出のおとり:全23回中5回出題(出題確率22%)/同じ記述の出題:1回論点「確率的影響にはしきい値が存在せず、線量の増加に伴って影響の発生率が増加する」原理「しきい値がある影響とない影響」:全23回中19回出題
- (4)正しい記述初見:全23回中1回出題(出題確率4%)論点「電離放射線の被ばくによる白内障は、晩発障害に分類され、被ばく後、半年 ~ 30 年後に現れる」
- (5)正しい記述初見:全23回中1回出題(出題確率4%)論点「造血器、消化管粘膜など細胞分裂の頻度の高い細胞が多い組織・臓器は、一般に、電離放射線の影響を受けやすい」原理「細胞分裂が盛んなほど放射線の感受性が高い」:全23回中4回出題
この問題のひっかけパターン:透過力と電離作用の大小(電離作用はα線が最大、透過力はγ線が最大)
電離作用はα線>β線>γ線。透過力は、その逆で、γ線が最大。
なぜ?
電離作用が大きいほど、エネルギーを早く渡して止まる。
出典:公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題(令和5年度 第1回・2023年8月実施)