問15
原子吸光分析法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- (1)中空陰極ランプは、光源として用いられる。
- (2)重水素ランプは、バックグラウンド吸収の補正に用いられる。
- (3)フレーム法における目的原子の原子蒸気は、ほとんどが基底状態にある。
- (4)グラファイト炉法では、炉に通電することで生じるジュール熱で原子化を行う。
- (5)吸光度は、原子の原子番号に比例する。
正答 (5)
原子吸光分析法の吸光度は、光の通り道にある目的元素の原子の数(濃度)に比例します。原子番号とは関係がないので、選択肢5は誤りです。
原子吸光は、基底状態の原子が、その元素に固有の波長の光を吸収する現象を利用します。光源には、測定する元素と同じ元素でできた中空陰極ランプを使い、その元素だけが吸収する波長の光を当てます。吸収の大きさで濃度を求めるので、元素ごとに標準溶液で検量線を作って定量します。
(参考:『作業環境測定のための機器分析の実務[特定化学物質・金属類・有機溶剤]』)
- (1)正しい。測定元素に固有の波長の光を出す中空陰極ランプを使う。
- (2)正しい。重水素ランプの連続光で、分子による吸収などのバックグラウンドを補正する。
- (3)正しい。フレームの温度では、ほとんどの原子は基底状態にある。
- (4)正しい。グラファイト炉に電流を流し、ジュール熱で加熱して原子化する。
- (5)誤り。吸光度は原子の数(濃度)に比例し、原子番号とは関係ない。
この問題は、試験本番では得点しなければならない問題です(学習の優先度:最高)。
理由:下記の通り、原理「ランベルト・ベールの法則」(過去23回中12回出題)を理解していれば、論点そのものを暗記していなくても、解けるからです。
原理から解く:ランベルト・ベールの法則(過去23回中12回出題)
この区分は、過去の全回の出題にもとづく目安です。
出題頻度
この科目の過去23回のうち、同じ内容が出題された回数です(同じ回に重複しても1回と数えます。頻度は、問われている論点(同じ事実のまとまり)の出題回数です)。
- (1)正しい記述頻出のおとり:全23回中10回出題(出題確率43%)/同じ記述の出題:6回論点「光源には中空陰極ランプが用いられる。」原理「原子吸光の光源は線光源」:全23回中14回出題
- (2)正しい記述:全23回中5回出題(出題確率22%)/同じ記述の出題:2回論点「重水素放電管はバックグラウンドの補正に用いられる。」原理「バックグラウンド補正」:全23回中5回出題
- (3)正しい記述頻出のおとり:全23回中4回出題(出題確率17%)論点「フレーム中における目的原子の原子蒸気は、ほとんどが基底状態にある」原理「原子吸光は基底状態の原子の光吸収」:全23回中16回出題
- (4)正しい記述:全23回中2回出題(出題確率9%)論点「グラファイト炉法では、炉に通電することで生じるジュール熱で原子化を行う」
- (5)誤った記述正答(原理から解ける):全23回中7回出題(出題確率30%)/同じ記述の出題:1回論点「吸光度は、光路長に比例する。」原理「ランベルト・ベールの法則」:全23回中12回出題
この問題のひっかけパターン:原子吸光の吸光度を決める要因
吸光度は原子の濃度に比例し、光源の強さや原子番号には比例しない。
吸光度は透過光と入射光の比なので、光源の強さは打ち消される。
出典:公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題(令和8年度 第1回・2026年8月実施)