問4
化学物質の吸収、代謝、蓄積等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- (1)N,N-ジメチルホルムアミドは、体内で代謝されて、尿中に N-メチルホルムアミドとして排泄される。
- (2)1,2-ジクロロエタンの生物学的モニタリング指標となる物質は、尿中のトリクロロ酢酸又は総三塩化物である。
- (3)o-トルイジンや3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)は、皮膚刺激性はないが、皮膚から体内に吸収される物質であり、発がん性がある。
- (4)インジウム及びその化合物の生物学的モニタリング指標として、血清インジウムの量がある。
- (5)鉛が体内に取り込まれ骨に蓄積された場合は、排泄される速度は極めて遅く、生物学的半減期は10年に及ぶ。
正答 (2)
尿中のトリクロロ酢酸や総三塩化物は、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタンといった、塩素を3つもつ構造の有機溶剤の代謝物です。1,2-ジクロロエタンの生物学的モニタリングの指標ではないので、選択肢4は誤りです。
「三塩化物」という名前のとおり、代謝されて塩素3つの化合物になる物質の指標です。塩素が2つの 1,2-ジクロロエタンとは結びつかない、と名前から判断できます。
- (1)正しい。N,N-ジメチルホルムアミドの尿中代謝物は N-メチルホルムアミド。
- (2)誤り。トリクロロ酢酸・総三塩化物はトリクロロエチレンなどの指標。
- (3)正しい。o-トルイジンや MOCA は皮膚から吸収され、発がん性がある。
- (4)正しい。インジウムの指標は血清インジウム。
- (5)正しい。骨に蓄積した鉛は排泄が非常に遅い。
この問題で狙われた罠:有機溶剤の尿中代謝物
トルエン→馬尿酸、キシレン→メチル馬尿酸、スチレン→マンデル酸、トリクロロエチレン→トリクロロ酢酸・総三塩化物、ノルマルヘキサン→2,5-ヘキサンジオン。安息香酸の摂取で馬尿酸は増える。
なぜ?
代謝物は、元の物質の形を一部残している。
出典:公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題(令和8年度 第1回・2026年8月実施)